CO調整レジスタを使って燃調補正は出来るか? |
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エンジンが取り込んだ空気と燃料の比を「空燃比」と言います。
当然、燃焼には効率の良い酸素量は決まっているので、空気は多すぎても少なすぎてもいけません。特に燃料が薄すぎると(流入空気量が多い)、
ノッキング(異常燃焼)が発生して排気温度が上がり、エンジンブローの元になります。
ノーマルのECUでは、ある程度安全マージンが確保された燃調マップが入っている為に燃調の補正の必要性はあまりありませんが、インジェクターやタービンを変えたりした場合にはどうしても補正が必要となってきます。
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通常、燃調を補正するということは燃料ポンプやインジェクタを吐出量の多い物に交換したり、また、これらを他のコンピュータで制御したりしなければなりませんので結構な改造費になります。ところがF6Aエンジンでは、お金をかけなくとも燃調をある程度補正する裏技があるとのこと。とあるブログで見つけました(^^。
それが助手席コンソール下にあるこの「CO調整コネクタ」(矢印)で、本来アイドリング時のCO濃度を調整するものです。ここにCO調整レジスタ(抵抗)を差し込む事で調整する訳です(右側はダイアグノーシス出力のためのコネクタなので今回は使いません)。
このCO調整レジスタでもある程度A/F調整ができるのでインジェクタの基本噴射時間を変化させて燃調が取れるということですね。
F6A EPI使用レジスタ表[抵抗値の単位はΩ(オーム)]
R6(濃い)〜L6(薄い) |
番号 |
R6 |
R5 |
R4 |
R3 |
R2 |
R1 |
補正無 |
L1 |
L2 |
L3 |
L4 |
L5 |
L6 |
抵抗値 |
12K |
6.2K |
3.6K |
2.2K |
1.5K |
1K |
無 |
680 |
430 |
270 |
160 |
82 |
0(直結) |
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ここでは既にCO調整レジスタ切替機のコネクタと接続しています。
これが純正のモールド型レジスタ(1個500円程度) |
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純正のモールド型レジスタでは切り替えが不便なので、レジスタをスイッチでそれぞれ選択できるようにします。
自作しようかと思いましたが、大須ラジオ街に行くのが面倒だったので、オークションで製品として作られている方のものをみつけて購入しました(写真左)。
材料費は1000円くらいだと思いますが、出品されていたものは2千円そこそこなので
作る手間や交通費等を考えるとお得といえます。
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とりあえず仮付けして切り替えてみると、若干アイドリング回転数が変化するようです。ちなみにこのCO調整レジスタ切替機で切り替えても燃調をECUの安全マージンを超えて変えることはできないはずです。
多分(汗)。
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使用していないコンソールパネルのボリウムを代用してロータリースイッチを組み込みました。 |
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さて、調整とインプレです。一応JA11の2型以降で説明します。JA11の1型とJA71の場合はコネクタのピンなどこちらを参考にしてください。
まず、エンジンを暖めます。水温計が上がってラジエターホース内の水が循環するまでその辺を走行してきます。
次にこのISCソレノイドバルブのコネクタを引っこ抜きます。ISCソレノイドバルブはアイドリングを安定化させる部品です。こいつの動作を停止させないと勝手にアイドリング調整されてしまいますので。 |
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アイドリングが950rpm±50rpmになるようにスロットルのアイドリング調整スクリューで調整します。普段はゴムキャップがしてあります。締め込むと回転数が下が
り、逆では上がります。
次にCO調整レジスタ切替機でレジスタを切り替えていくとアイドリング状態でR側からL側に行くとある時点でわずかにアイドリングが下がるのがわかります。
そのアイドリングが変化する回転が高い側の位置にします。実際の回転上昇はかなり微妙です。
私はアイドリングが下がるのがL3の状態でしたので、L2にしました。逆にR側は最大のR5まで回しても変化はほとんどありません。
引っこ抜いたISCソレノイドバルブのコネクタを戻します。
次にサービスマニュアルにも書いてあるデューティ比の調整をします。デューティ比というのは開弁時間率をパーセントで表示したものです。 |
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ジムニーのサービスマニュアルでは、B端子とC端子を短絡するとE端子にO2センサ
ーフィードバックデューティ比が出力されるとなっていますが、ちなみに同じF6Aのカプチーノやセルボのマニュアルでは対応モニタコネクタはA端子とC端子となっています。?
ん?おかしい・・。
ジムニーのマニュアル、どうも怪しいです。この右図のように誤植?もあるし。
下図ではB端子は右側です??。しかも、下図のようにB端子を
短絡して使うとセルフダイアグノーシスのランプが点きっぱなしになります。
でもA端子だとセルフダイアグノーシスが正常に出力します。だからジムニーでもおそらくA端子とC端子が正解だと思います。
おそらく。
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同じJA11のマニュアルなのに端子が違います。誤記っすね。
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E端子にテスタのプラス、C端子にテスタのマイナスを接続して電圧を測ります。この時、電圧が6〜7VになっていれはOKです(デューティ比が60〜70%)。
次にA/CスイッチをONにしてエアコンをかけた状態で同じ作業を行います。
エアコンONの状態で1050rpm ±50rpmになるようにエアコンアイドルアップVSVの調整ネジを回しますが、6〜7Vの範囲からは出ないようにします。(以上マニュアルより)
で、このまま走行テストをしてみます。ゼロ発進やパーシャル状態からのフル加速を何度かやってみます。A/F計なんてものは無いし、排気温度計も無いので効果は体感できるかどうか?です。 |
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ヴォオーン(ガチャ←シフトの音)、ヴォォオオーン(ガチャ)「・・・・何も変わらない・・・・(=_=;;)。」
ウワサだとアクセルの反応が良くなるとのことだったのですが、体感的には何も変わりません。
それでは面白くないので、今度は上記の調整とは全く関係なく、街中を走行しながらR6(濃い)〜L6(薄い)まで色々切り替えて走行してみます。
アイドリングでは回転数が確かに変わりますが、やはり走行中は体感できる違いはありませんでした(泣)。
そもそもこのCOレジスタっていうのは本来車検時にアイドリング時のCOが適正値となるように調整するためのもの。ですので、どうやら期待したような結果にはならないようですね(^^;。第一そんなに良ければ有名ショップが出さないわけないですから!残念・・!(波田陽区風)。
・・と、いうことで今回の実験は自分的に期待はずれでした。WEBで見ると、カプチーノみたいな DOHC F6A
エンジンではこのCO調整レジスタ切替機で多少走りに差が出るようなことが書いてあるページもあるのですが、所詮ジムニーで加速何秒台とか競うわけでもなく、エンジンの味付けも違いますからね。
ただし、アイドリング時のインジェクタの基本噴射時間を減らせるということは、長距離走行だとL側にすることで若干燃費の向上は望めるかも?。かなり微妙だとは思いますが・・。
更新情報:・・と、高速道路通勤者になったので、レジスタをリーンからリッチへと切り替えてどのくらい燃費が違うか統計を綿密に取ってみましたが、数値はバラついており、燃費に対して全く有意差はありませんでした(汗)。
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