SUZUKI ジムニー SJ10 日記(14)

 
HKS ツインパワー

 
 従来タイプのC.D.I.は貯めた電気を一気に放出してプラグをスパークさせているが、低回転時は混合気の圧縮が弱い為にC.D.I.の点火時間では点火しにくくなりがちであり、それを解決 しようといくつかの放電方式があるのだが、その中の一つでこのような併合の点火方式が出てきた。

  前にMDI考と称して、放電の仕方についてはひとつの方法として複数放電C.D.I.に対するコメントを書いた。今回気になっていたHKSのツインパワーを入手することができた。これはノーマルの点火と併合させて放電を行うシステムのようである。

 これはなかなかレアな旧モデルであるが、この後ラインナップは増えて、当時閉磁コイル用、開磁コイル用、レーシングタイプ(オルタレスの車でも使用が出来るように低電圧設計。高回転向き?)等数種類が存在した。

 このHKSのツインパワーには側面に発光ダイオードのインジケーターとドライバーで調節できるアジャスターがついており、限られた範囲ながらもコイル一次側抵抗値とのマッチングが調整できるようになっているというもので、開発者のこだわりが感じられる。

 これに期待したのはアイドリングの安定度と中低速の追従の良さ 。でも感覚的には普通のC.D.I.と何も変わらないようだ?。オシロスコープを使った実験上では普通のC.D.I.のみの場合 何かわかるのかもしれないが、実際には放電の程度で大きく変わるものではなさそう。やはり 所詮LJ50エンジン程度ではわからないのかも・・。

 ・・・なんて言っていたら、燃費の向上が私の史上最高である。C.D.I.で改善されていても街乗りリッター8.5キロだったのがなんと9.3キロ/リットル。結構 この方式もよかったりして・・(^^)。

 

 エンジンをかけて、回転数をある程度上げてからアジャスターを回していくとインジケータが点灯する箇所が存在する。そこがコイルとのベストのマッチング位置となる。

 初め配線図がなかったのであるが、コネクタが残っていたので試行錯誤の末、なんとか見つけ出すことができた。他社のC.D.I.から緑線は信号と思っていたのだが、こいつはコイルの-線であった。 そしてオレンジがコイル+線、 及び信号線である。


HKS Twin Power
のC.D.I.7本線の場合
C.D.I. → IGオンで12Vの通電端子
C.D.I. 橙→ポイント信号
C.D.I.→コイル-
C.D.I. 橙→コイル+
C.D.I. 黒→アース(本体線)

ちなみに赤2本と黒2本はそれぞれ同じ線で、まったく同じ。どちらか1方のみ使用。黄色は使わない。問題は橙。調べるにはテスターを用意して10オームレンジにする。テスターの赤リードを赤線につなぐ。黒リードを橙線にあててみて抵抗の低い方がポイント信号線である。

 それにしても、どうにかならない?このデザイン(笑)。

ちょっと意外な番外編 センチュリーVG21にC.D.I. 

 さて、C.D.I.を付けてつまらんことで一喜一憂している私だが、そこは旧車好きには何か通じるものがあるらしい。同じ職場にセンチュリー(昭和51年型VG21)に乗っている同僚がいるのだが、ある日私の付けているC.D.I.に興味を示したので(笑)、取り付けてあげることにした。ところが、今ヤフオクでC.D.I.を探してもえらく高いのだ!1年くらい前は中古C.D.I.なんて3000円もあれば楽勝で買えたのに、今は軽く1万円を超してしまう(泣)。それも履歴を見てみると結構ジムニー乗りが多いようで・・なぜだろう(・・って誰のせいだ!!ヾ(-_-;)ぉぃぉぃ。) 

 

 代理落札で取り付けたのは私が結構お気に入りのワコーGT-1000FXBである。センチュリーってボンネット内は広いくせに部品が詰まっていて取付場所 が1箇所に限定される。結局鉄アングルを溶接してC.D.I.用サポート金具を作成、コイルの手前の空間に付けることにした。ところで、センチュリーにC.D.I.を付けた人って 今までいないのではないだろうか(笑)。現在ノーマルの状態で燃費はリッター6キロとのこと。走りを含めてどう改善するか楽しみである。

 

 VG21だよ。

 ジムニーがいっそう小さく見える(^_^;)。トルクとかパワーは十分なので、この場合期待するのは始動性とか燃費くらいかな。このセンチュリーの3376ccのV8エンジンは30年近く経った今も車体を含めてすばらしいコンディションを保っており、錆ひとつない。でもさ、私のジムニーと較べても、取得価格を含めてかけた値段の合計は同じくらいなんだよね。なのにこの違いは何??。

   さて、1週間たってセンチュリーの持ち主が興奮して報告にやってきた。(以下方言もそのまま(笑))

 「すげぇ!すげぇよ○○ちゃん(私の愛称)!。とんでもないパワーが上がっとる。感覚でいえば、3000ccのエンジンが4000ccになった感じだよ。全然違う車に乗ったみたいだ!(興奮)。朝暖機のときに少し白い煙をはいてて、臭かったのがまったくなくなったよ。魔法の箱やな (興奮)。あ、でもアイドリングが前より下がってばらつく感じ ・・あーでもそんなに気にする程じゃないけどさ。燃費は7キロになった。ええよー、これ。」

 うっそ!マジっすか?。どうも私の期待感以上の効果だったようだ。こんなに喜んでもらえると半分無理矢理取り付けた私も満足。でも、なぜこんな良い結果が出たのか、私なりに検証してみた。

 点火装置と配線劣化による電圧低下?

 よく、旧車の点火系チューニングをしても効果が今一つだったり場合 に言われていることで、イグニッションコイルの+抵抗端子(外部抵抗付きの場合は抵抗器のコイルの反対側)の電圧を測定してみることを推奨されている。正常であればバッテリー電圧と同じはず。ところが、多くの場合はバッテリー電圧より、1〜2V低いのだ。(うそだと思われたら旧車の方は計ってみて欲しい。 大半の人が下がっていると思う)

 この原因の殆どが、イグニッションスイッチや配線の内部抵抗による電圧低下である。難しい計算式なので割愛するが、1〜2V電圧が低いだけでコイル出力は4KV〜8KV低く なり、 ひどいと10kV以上低下してしまうのだ。これでは、いくらプラチナプラグや高性能プラグコード、高性能イグニッションコイルを付けても効果は発揮できないことになる。 今回、センチュリーでC.D.I.の配線を引く際に12ボルトが確実に来ている 場所を特定するために測定したところ、バッテリー端子では12.5Vある電圧が、コイルのレジスタIGN側端では11.0Vまで落ちていた。

 このことが何を示唆するかというと、前述のとおり、コイル出力の低下とプラグの失火をひきおこす原因となっているのだ。それが今回C.D.I.を付けること によって改善されたと考えられる。なぜC.D.I.をつけたら改善されるかというと、通常のフルトラ、ポイントなど誘導電流をコイルで発生させて昇圧させる接点方式では、コイルの1次側にかかる電圧が出力にもろに影響することになるが、C.D.I.は 電源電圧を発振回路を使って内部トランスで直接昇圧させているので、電源電圧が多少落ちてもあまり 影響がないからなのだ。

 よくアーシングをしてパワーが上がったという話も聞くが、実はコイルに流れる電流が上がったためというのもかなりあることだろう。いや、アーシングなんぞよりイグニッションコイルにかかる電圧を正常にするだけで高価な部品をつけなくとも見違えるように 本来のパワーが出ることだってあるのだ。

 実は前からやっているのだが、私のSJ10はイグニッションキーを差してスイッチを入れるとレジスタ端子では11ボルトしかない。そこで、普段イグニッションキーは使用せず、車体のとあるところにつけたスイッチを使ってリレーを駆動させ、直接バッテリーからIGN電源を取る方法をとっている。(といっても単純にスイッチを入れるとリレーがオンになって直接バッテリー+端子からイグニッションコイルの直近のレジスタ端子に12ボルトがいくようになっているだけである 。スターターもいるのでスイッチは2個必要)

 こうすることによってポイント、フルトラであっても本来の性能を引き出すことができる。もちろん、この方法はフルトラ、セミトラに限らずC.D.I.でも効果はある はず。

 その他の効能としてはこれによってプラグギャップも広く設定できるので、点火しやすくなる(電極間に存在する混合気が多くなるため)。アイドル時の安定性や燃費の向上、高回転時のパワーアップと効果は絶大。ただし、EGI車の場合、ほとんどがイグショッションコイルの電源をメインリレーから取っているので効果 がないので念のため。

 まあ、そのことを抜きにしてもC.D.I.そのものの効果があったのは間違いなさそうである。でも、やはりアイドリングが不安定になるのは多少とはいえC.D.I.の点火時間の短さによるデメリットが現れているようだ。(少しだけアイドリングをあげてやればいいだけなんだけどね)でも、この点火時間って、なんとかして長くできないだろうか・・。ということで見つけたのが・・・パワーエキスパンダー登場 !(テレビCM風)
 

 

 パワーエキスパンダー

 ヤフオクでWAKOのエキスパンダーなるものを入手した。正直言って私はこれが何か今まで全く理解できなかったのだ。どうも写真から配線を見ると単純にC.D.I.の結線する途中にかませて使うらしい。装着すると特長(取説から)は

 1)火花持続時間をC.D.I.の5倍以上に伸す
 2)ノッキングを追放し ギヤーの守備範囲を広くします
 3)火花持続時間は2段階切替可能
 4)他社メーカーのC.D.I.にも使用可

 などとなっている。配線は他社C.D.I.の場合は4本 黒はアース 赤はイグニッション+ 緑はコイル出力側 青はポイント等出力に取り付け、C.D.I.回路と並列に接続するものである。 (他社C.D.I.の場合は片側配線しか使用しない)
 

 最近、配線自体ごちゃごちゃして自分でも分からなくなってきました(^_^;)。写真下に写っているタイラップで止めてあるフィンのついたのがパワーエキスパンダー。
 このパワーエキスパンダーは2種類あり、カプラー2ヶ(両方とも青・赤・緑線の3本)の他にアース線以外にオレンジの線と黒い線(ギボシ付きのもの)がある物が今回入手したPE-3という古いタイプで、 カプラー2ヶにアース線の物がPE-2SS(CD-1200専用)という新しいタイプとなり、カプラーの片側が青・赤・緑線3本でもう片側は青(Point信号)・赤(IG)・緑(コイル-)・茶線(コイル+ )の4本になっているそうだ。

 パワーエキスパンダーはちょうど日産がプラズマスパークと名付けた点火装置(R30スカイラインがマイナーチェンジした時で、3000回転以下でしか能力を発揮しなかった。マイナーチェンジしても外観は変わらず、車体には後ろの窓にプラズマスパークなんて蛍光色の小さなステッカーが貼ってあるだけだった)が出て来た頃に売り出されたものであるが、このパワーエキスパンダー が回路的にどのようになっているかというと、逆起電力を利用する為にコイル+(出力コンデンサ側)とマイナスの間にダイオードを入れ、プラス側を再度コイルへ流しているものと思われる。コイルのエネルギー(逆起電力による起電力)が無くなるまで電気を流すようにしてるってことらしい(たぶん)。(この文献から 引用)

 実はフルトラ、ポイントなど接点式のイグニッションシステムと比べたときのC.D.I.の最大の欠点というのはこの点火時間の短さにある。(ポイントの3分の1くらい)。もし本当に点火時間が5倍程度だとすれば、C.D.I.の欠点をすべて克服していることになる。これは ちょっと信じられないが私的にはかなり凄い。結構良い物なのではないかと期待している。
 
これがあればC.D.I.で問題となる アイドリングや低速での点火能力不足が解消できるかもしれない。このおまけのようについているギボシ端子はオレンジの線と黒の線があり、火花持続時間の長短を決めるものらしい。繋ぐと点火時間が長くなりトルク型に、外すと短くなりレスポンス型になるとのこと。


 さて、とりあえず今つけているC.D.I.に配線してエンジン始動。特に何事もなくエンジンは掛かる。始動したての安定感は・・うん、なんかいいみたい。始動性は またよくなっている。いつもエンジンの冷却時は簡単にかかるが、ちょっと暖まっているだけでチョークを引くと当然かからないし、かといってアクセルを踏んでも冷却時みたいにチョンがけではかかりにくかったのだ。

 だけど、なんというか、排気音が違う感じがする。特に暖機後はなかなか安定はよいみたいだ(期待)。

 それで!走行してみたらこれがちょっと驚き。パワーエキスパンダーは火花のやせ細りを防ぐ働きをするとなっているが、始動性、トルクもC.D.I.のみで感じた効果以上のものがあるようだ。販売当時は高価だったし、今まで 私がやってきた一連のC.D.I.機種変更実験と違い、こういった付属部品だけを付け替えるような実験はしていなかったのでとってもいい経験になったと思う。 ちなみに火花時間を調整するギボシ端子をつなぐと、コイル1次側で約480ボルト、ギボシ端子を離すとなんと700ボルトも出ている。かなりの効果?。

 いや、正直言って、実際効果がわかるとは本当に思ってもみなかったのだ。C.D.I.と共にこの感動を知らない2ストジムニストは不幸なのかもしれない 。(いいのか?無責任にそんなこと言って!・・(^^ゞ)。

パワーエキスパンダーの資料はこちら(右クリックでファイルに保存をクリック


 

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