SUZUKI ジムニー SJ10 日記(15)

 
変わり種点火装置

 
 またまたWEB読者のTさまからありがたい申し出を頂いた。なんでも数種類のC.D.I.をお持ちで、よかったら実験してくださいとのこと。写真を見て大変興味が湧いたので、お願いして送ってもらった。(感謝!!)

 実物を見てみると送ってもらった点火装置の一部はC.D.I.ではなく、私もお初のちょっと変わった点火装置であった。早速実験してみたので報告したいと思う。

 HANSHIN DPIG

 これは2つの部品で構成されている火花の増幅装置といえるものである。アンプと呼ばれる装置からはアースの他2本の線が出ており、コイルの+と-の両端から電源を取るようになっている。アンプからは2本の線が出ており、コイルとデスビの間に入れる装置に継がれているのみである。通常のポイントやフルトラ出力はノーマルの 状態で使用するようになっており(つまりノーマルの回路に並列に入れている)、感覚的には既存のコイルにかかった電圧をアンプで拾って、昇圧装置に送り、コイルの点火出力と合成させてプラグに送る装置のようだ。 (コイルを交換せずにハイパワーコイルの効果を得るもの)

 

 C.D.I.とは関係ない装置なので、効果を調べるため、セミトラの状態に戻して配線して走行してみた。結果は予想どおりというか、もともとがセミトラなので、CDIのような立ち上がりの早さや高回転での伸びがない(あたりまえか)。単純に、”ノーマルと何が違うの?”っていう感じである。
 そもそもC.D.I.のついた状態から変更して実験しているので、かったるくて仕方がない。また、燃焼効率が悪いのか排気ガスも臭い。C.D.I.と較べると明らかに劣 っているとしかいえない。 ひょっとすると試した機械が壊れているという可能性もあるが、どうしようもない。今売られていない理由も分かるような気がする・・(笑)。

 アンプにはHANSHINのロゴが見える。後でわかったことだが、これも阪神エレクトロニクス製で、FET極東にOEM供給されていたようだ。

 ちなみに、コイルの両端に継がれている線を外してみても(合成出力分がなくなるはず)、何事もなかったようにエンジンはかかるし、問題なく回る。トリガーの回路を持っていないので、適当 であることを承知で言わせてもらうと、ガンスパーク(なつかしー)に近い感じなのかなあ。

 ちなみに当時の値段は19800円だったそうである。この点でもC.D.I.とは 違う次元の話。あとでわかったことだが、この装置はD.C.I.(Dual Coil Ignition)という名前で販売されていたようだ。なんて紛らわしい・・・・(^^ゞ

 

 ジェスコのC.D.I.その2


 以前インプレしたのはジェスコのGTRという機種(加速重視タイプ)だったが、今度はRacingTYPE(高速走行用プロフェッショナルタイプ)をTさまからお借りしたので、一緒に検証してみた。

  ジェスコのものは 多種の回転域に合わせて何種類も設計して販売されているが、このRacingTYPEは名前から高回転向きとみていた。なんたって当時78000円もしたジェスコの最高峰のC.D.I.である(ちなみにGTRは58000円) 。ところが、LJ50エンジンでは6千回転で頭打ちする??。あれ?前にもこんな感じのC.D.I.があったぞ・・そう、「武蔵」のときの専用コイルでないときの状態に似ているのだ。
 それではと、使っている永井電子のC.D.I.専用コイルに戻して回してみた。おお、今度はちゃんと7千回転とかでも回るぞ。どうも専用コイルのくせに社外品のコイルに勝てないようだ(^^ゞ(コイルのへたりもあるけど?)。でもその他はさすがGESCO製。C.D.I.として の性能は上々である。でも・・どう考えてもLJ50には高速走行用という名前はふさわしくない(笑)。


 

これがジェスコのC.D.I.-RacingTYPE

 GESCOのC.D.I.はワコーのパワーエキスパンダーも使えるんだよね 〜♪(ただし、その場合、内蔵のフルトラアンプは使えない)

 幻のイグニッションシステム キングスパーク
(多発拡散式特殊点火装置)

 キングスパークというのはC.D.I.でもフルトラでもなく、点火スパークを1秒間に5000発の割合で出すという多発拡散式特殊点火装置と呼ばれるイグニッションシステムである。

 このシステムは1秒間に2千から5千発の点火スパークを発生しているので、シリンダー1つに対して10本のプラグを装着しているのと同じ理屈となる。 そのため、プラグ周辺のイオン化も増加されて、燃焼効率も早くなり熱エネルギーの到達時間が短縮される。
 従来損失となっていた熱量がこの短縮された時間の分量だけ余分にピストンに加えられることになるため、特に燃費の向上が素晴らしく、40〜100%延び、CO、HC、NO2排出量がそれぞれ平均 57.5%、7.5%、38.0%も改善するとのこと。 また、3つの技術の特許を取得している。

 キングスパークのラインナップは2種類有り、4気筒以下用のRFTというモデルと、6気筒以上用のRFT-Sというモデルが発売されていた。後期にはEFI.EGIエンジン用にタコメータ作動の不具合を解消した商品もあったようだ。

 さて、WEB読者のTさまからC.D.I.に混じって貸して頂いたのがこのキングスパークである。なんたって多発拡散式特殊点火装置って名前からして凄すぎ(笑)。C.D.I.よりも少し小さな筐体の中味はいかに?誰か動作原理をご存知の方いらっしゃいましたら教えて下さいm(__)m。さて、その期待のキングスパークを試してみた。こちらにカタログがDLできます カタログ1 カタログ2 

      
こちらは添付の説明書(右クリックでファイルに保存を選択)→ 説明書

これがキングスパーク(後期モデル)

 余談になるが、キングスパークは昭和56年度の日本発明振興会の発明功労賞を受賞している商品である。
 この日本発明振興会の賞とは、財団法人日本発明振興協会が主催、文部科学省、経済産業省、特許庁、中小企業庁などの後援により毎年行われる表彰制度で「独創性に富む発明によって優秀な技術・製品を生み出した中堅企業、中小企業、および個人発明家、グループを対象に、その功績を広く一般に紹介する」というのが、この制度の主旨らしい。
 WEBで検索してみるとオイル交換が永遠に不要となるオイル再生器とか、結構面白い商品が多い。


 配線図ではC.D.I.とは違って外部抵抗器を使用してノーマルと並列に配線するようになっている。私のC.D.I.コイルでは抵抗器をつけてないので、とりあえずSJ10のノーマルコイルを使用することにした。

 イグニッションをオンにする。ん、そういえばキーンとか言った音がしないなあ。C.D.I.と違って、トランスを持っていないようだ。静かだし、筐体も小さいわけだ。

 うんうん、エンジンのかかり、安定度、文句なしである。コイル端で電圧を測ってみる。あー、12ボルトがかかってるので、これはC.D.I.ではない。電磁誘導を利用したインダクティヴ点火用セットのようだ。(コイルの動作はフルトラ、ポイントと同じ)ということは、コイルはノーマルまたはフルトラ用のコイルが必要となる。インピーダンスが低いものはだめっぽい。

 ちょっと走行してみる。うん、いいんじゃない?。でもC.D.I.ほど高回転は回らないようだ。では、ちょっと頑張って2kmほど高速巡行。うーん。加速とかトルク感は感覚的には優れたC.D.I.のようである。しっかり燃焼していそうだ。 ノーマルとは全然比較にならないほど素晴らしい。

 さて、エンジン止めて、様子をみてみたら、コイルがこれだけ走っただけなのに結構熱を持っている。オーバーロードというほどではないけど・・。とりあえず もう少しインピーダンスの高い大型のコイルがよいかもしれない。
 カタログでは1秒間に5000発の火花とかかいてあるので、そうなると理由もわかような気がする。あーオシロスコープが真剣に欲しくなってきた。ちょっと波形が見れなくて悔しいです。誰か譲って下さい(10MHzで600vが計れるのがいいな♪)。

 でも、んー、やっぱり、火花の状態がどのくらいなものか眼で見えないと気が済まない。簡易同時点火システムを作って片方でエンジンを回し、もう片方の点火装置で火花実験してみることにした。
 
 これはC.D.I.(GESCO GTR ワコーパワーエキスパンダーつき)の火花の状態である。エンジン回転はアイドリング状態。デジカメなのでシャッタースピードとか変えられないので、3枚撮って1枚くらい火花が写る。C.D.I.でこいつの電圧はコイル1次側に700ボルトもかかっている。さすがに2次側の電圧はめちゃ高いのか、ちょっとアース極を離しただけで、コイルの周りじゅうに火花飛びまくりです。ただ、火花自体は紫色で細い感じ。  これがキングスパークの火花の状態である。C.D.I.と同じ条件なのだが、はっきりいって凄すぎ。音も凄いけど、火花の数が違う。写真は小さいが、5,6本の火花が見える。肉眼ではもっと凄いのだが、写真も3枚撮ったところ、全部このように写っていた。いや、たまげたっす。火花が青白く太さも違う。電流値が多いことを示唆しているようだ。プラグ10本の能力も決してうそではない かも。
 
 今回試したキングパワーはノーマルコイルだからまだこんなものかもしれないが、4万ボルトコイルとかだったらもっと凄いのだろう。アクセルスーパーコイルみたいな放熱も考えたほうがいいかもしれない。

 C.D.I.と比べてみると、うーん、どうだろう。変態的点火装置が好きな私には(^^ゞかなり高得点。でも、やはり2ストのLJ50では絶対的に高回転が回るC.D.I.のほうに軍配をあげたい と思う。

 しかし、こうして考えてみると、このキングスパークを開発した会社(社名もキングスパーク株式会社(笑))は3つも特許を取り、発明功労賞を取得して、華々しく売り出した割にはなぜ普及しなかっただろうか?。値段もカタログでは当時2万8千円となっているので、当時のC.D.I.より遙かに安いはず。このへん、C.D.I.もそうなのだが、当時は現在ほど燃費を気にする時代ではなかったので、いくら燃費を前に出しても売れなかったこともあるだろう。 違う販売方法だったらもっと売れていたのだろうけど・・。
 
 このキングスパーク専門であった会社がなんらかの理由で廃業してしまった現在、特許が足枷となっているため、この技術を使ったイグニッションはもう2度と世の中に出てくることもないのだろう か?。そう考えると悲しい運命である。・・とすればこのキングスパークってひょっとするとかなりのお宝なのかもしれないよなあ・・(なんていってたらヤフオクに出品されてたので早速買ってしまったのだ \(^O^)/←変態)。

 後日入手したキングスパークを4ストのJA12に付けてみたらあんまりよかったのでこちらを見て頂きたい。
 

 Tさま、私の好奇心を満たして頂き(^^ゞありがとうございますm(__)m。

(動作しなかったものも含めて履歴はこちらです)

 

 またもや買っちゃいましたよTRD C.D.I.(SP251)

 
いや、本当です。もうやめようと思っていたんです・・・でも見つけてしまったんです・・TRDのC.D.I.を(懺悔)。だって、当時めちゃ高かったトヨタ純正だし・・ 、いいじゃん。妻よ許せ。さて、TRDのものはまず大きい。とても大きい。大きことはイイことだ♪(昔あったよね、こんなCM)。 中のトランスが小さいとどうしても高圧を発生させる励振のパワーがなくて、点火時間を延ばすために点火コンデンサの容量についていけないといったことが起 こってしまう。でもこれだけ大きければトランスの容量は十分だろうね♪。

 さらに、これは今まで試したC.D.I.中で唯一ポイント専用となっているものである(セミトラでも動くが、モジュールがあるようなフルトラ(JA22とか)では動作しない)。これを付けることでポイントは焼損が皆無になり、長期間メンテナンスフリーとなるのだ(セミトラと同効果)。トヨタ純正らしい、丈夫な造りとデザインは期待通り。走行してみるとなかなかの実力である。やはり励振のパワーがあるので、高回転でも楽勝だ。ポイントC.D.I.としては完成形だろう。このTRDのポイント専用のものはSP-052からSP-151、SP-251と進化して販売されていたものである。いやー満足満足♪
 


 メーカーらしい重厚で高級感がある素敵なデザイン!それまでシルバーだったのが、251はブラックボディだ。でもデカイ。重い。SJ10だからスカスカだけど、今の車ならこんなもの入るスペースはない。 結構静かでGOOD。

  前のページへ

   次のページへ

    トップに戻る

inserted by FC2 system