スズキジムニーSJ10(4型)
 ジープやジムニーのフロントウインドウを倒して走行したら違法か?


軽井沢シンドロームの相沢耕平

だれかこんな仕様のジープ譲って!!

  SUZUKI ジムニー SJ10 日記(1)

 ジープへの憧れ 

 スズキジムニーSJ10(最終型:4型)。 世界に誇る軽四輪駆動車「スズキ ジムニー」、ジープ プラス タイニー(小さなジープ:ジープミニ)から付けられたネーミングである。現在の車と比較すれば貧弱さは否めない。
 しかし、軽自動車なので価格及び維持費が安く、馬力こそ26馬力であるが、軽量な2サイクルエンジンのもたらすボディバランスと低速トルクにより、そのクロスカントリー性能は国内トップクラスであった。

 さて、この車を購入したいと思った切っ掛けであるが、私は18歳の頃に当時ビッグコミックスピリッツに連載されていた軽井沢シンドロームの相沢耕平に憧れており、彼の所有するMB/GPWに性格が似ていたからなのだ。ただ漫画に出てくる相沢耕平のジープはMBの顔はしているものの、実は三菱のJ3にMBのボディを乗っけたという設定であった が。ジープ・・。なんていい響きなのだろう。 しかし、貧乏学生としては、レストアされたMBや三菱JEEP CJ3など、高価でとても手に入れることは不可能であった。
 

軽井沢シンドローム

(たがみ よしひさ)

 この本は私の永遠のバイブルです。
この本が私の考え方に与えた影響は多大なものがあります。


 それから18年、それまで街でオープンのジープを見るたびに振り返って羨望の眼でみていたものの、とても購入まではいたらなかったのだが、ある日たまたま職場でカーセンサーという中古車雑誌を見ていたときのこと である。
 SJ10との出会い

 なんだ?これは?私の目に飛び込んできたのはフロントウインドウを倒して、オープンにした 、ジムニーSJ10であった。「え、なになに?これ日本車?それもジープみたいだし、かっこいいじゃん。ナンバー黄色だけど軽四なの?え?ジムニー?これジムニーなのか!」

 
 それまでジープは高いし維持はできないだろうと思っていたが、これなら軽四で安いし、なんとか買えそうな値段だと考え、早速当時親父からもらって乗っていた四駆の軽四トラックに乗って カーセンサー片手に隣町まで見に行ったのであった。(ちなみに店頭販売価格36万円)

 
 そのSJ10は緑でかなりボロだったが私は一目惚れしてしまい、乗っていった四駆の軽四トラックをそのまま下取りに出して契約してしまった。やっぱりロールバーは付いていなきゃ!とついでにアピオのロールバーも付けて納車してもらうことにした。(アピオのロールバーについては後述してます) ここでジムニーを購入したのは、MBとの相似はもとより、第二次大戦中の1942年6月27日、アメリカ陸軍が、135の会社に対して入札案内をした、当初の仕様書と酷似している点が気に入ったからなのだ。SJという名前もSUZUKI Jeepからきているらしい。

 仕様の概略
[車両重量/585kg、積載量/270kg、トレッド/1190mm、ホイールベース/2030mm、出力/40馬力以上]


 そして、その結果生まれたのがMB/GPWであり、量産型として約64万台も生産されて活躍したのだが、その車両重量は1060kgと、要求数値の2倍近くになってしまっていた。

 ジムニーは、そのボディサイズも酷似しており、重量さえも期待された数値に近づいている。トラック並の頑丈な梯子型フレームに、耐久性を考慮したサスペンションはリーフスプリング、フロントアクスルは前輪駆動車のものを採用し、16inchラグタイヤを履いたパートタイム4WD車である ことと、信頼性と耐久性を重視したその基本レイアウトは、MB同様オーソドックスでありながら非常に理想的なのだ。世界的に見ても大排気量化やハイパワー、大型化が進んでいたクロカン四駆の中でジムニーは異色の存在なのである。

 実際に、私の憧れのレストアされたMBを目にすると、こんなに小さいものなのかと思うほどで、MBは、その小ささ故にスタック時にも大人二人でなんとか切り抜けることが出来たため、戦時中のアメリカ兵も大勢生還出来たのだ。
 
 納車

 なんていっているうち待ちこがれること1週間、夢にまで見た緑のSJ10は本当にボロであった。ドアの後ろのパネルは錆がひどく、ドライバでつつくと穴が数カ所開いてしまった。

 ロールバーは直径5センチはあるだろうと思われる腐った穴の横の縁にかろうじてボルトでつながってはいるものの、強く引っ張れば取れてしまうのではないかと思うほど底板は腐っていた。右のサイドミラーはぐらついており、ぐっと引っ張ると腐ったフェンダーともどもボロッとはがれて取れてしまった。(写真は私のSJではない が同じようなものだった(笑))
 

 
 仕方がないのでパテを買ってきて錆の上からではあったが無理矢理埋め込んでなんとか補修し、サイドミラーもエポキシ樹脂接着剤でどうやら固定することができた。

 と、ここまでやったところで問題が出てきた。パテは白い。ボディは緑色だがあちこちに出来た まだらの白い部分はどうすればよいのか。色をつけようにも、オートバックスへ行ったところでそんな古いジムニーの純正色スプレーなどあるはずもない。
 

 
 Military化

 まだらになったSJ10を見ていてふと思いついた。「そうだ、迷彩ならうまく隠れるかもしれない!」しかしここで問題があった。 そんな参考になる図や絵みたいなものはあるのか?  

 軍用車のあの迷彩のパターンというのは各国の軍隊が何億という研究費をかけて開発しているものであって適当に4色を塗ればいいというものではないのだ。

 いつか道で迷彩のランクルとすれ違ったことがあるが、本当に適当に塗ったとしか思えない迷彩(?)で非常にかっこ悪いものであった。
 とりあえずプラモデル屋に行ってミリタリー系のプラモデルをチェックするがあまり参考になる絵はない。しかしいろいろとWEBサイトをチェックしたところ、アメリカのミリタリービークルのページA151MATTの迷彩パターンの設計図を発見した。
 


 おお、これならうまくいくかもしれないと自分のSJ10の写真ににフォトショップで色つけしてイメージを完成させてみた。「よし、これで行こう!」
 
迷彩パターン(色)
れがA151MATTの迷彩パターンの設計図
 近くの金物屋で黒、茶色、カーキ色、つや消しクリアのラッカーペイントを4色大量に購入してきた。 ベースは緑色なので問題ない。

 まずは設計図のとおりに油性マジック(細)を使って大体の線を引いた。ちょうど線を書き終わる頃、当時小学1年生だった娘が友達を連れて帰ってきた。私が車に絵を描いていると思ったらしい。

 「私にも書かせてー。」と集まってきた。「だめだめ、お父さんはいたずら書きしてるんじゃないの!」とはいったものの、眺めてみるとどうみてもいたずら書きのようであった。

 

 あとはラッカースプレー両手に線が隠れるように塗った。

 多少タレてもご愛敬。仕上げにつや消しクリアを塗って、最後にはいつか見た米軍ジープに書いてあった部隊番号をボンネットにレタリングして星のマークをつければ出来上がり! 半日で完成した。

 うーん、変なマニアに見えるが、まあ、よしとしよう。かっこよくなったなあ(あくまでも私見)。

 さて、実は私の職業は公務員なのだが、この迷彩ジムニーにはこの後1年間ほど乗っていた。みなさんのご想像通り、森の中では目立たないはずの迷彩も町中では大変目立つ車である。

 あちこち行くたびにいろんな人から奇異な目で見られ、オープンで走れば通行人から指を差されたりしたが、結構気に入っていた

 しかし公務に自家用車で出向くときはさすがにスーツにこの車は気が引けて、 妻の車を借りて出かけていたが。

 でもコイツは調子の良いSJ10であった。この頃の2ストの車は長期にエンジンをかけていないものが多く、半年位でもクランク室に2ストオイルが溜まってしまう。(うまくいけば、100km程走れば直ることもある)

 ついでに2ストオイルが乾いて、リード板の張り付きのためリードバルブが破損してしまうので調子の良いLJ50エンジンはなかなか見つからない。(2ストオイルは灯油の様な物が鉱物油に混ぜてあるのでこいつが乾燥すると粘度が高くなりリードが張り付く→リード破損)
 ましてや各部の油膜が固化していたり、揮発しているものが多く金がかかる。

 
 そして売却

 たいした故障もなく1年くらいたったが、そろそろ迷彩も飽きてきたし、錆の上から塗ったパテははがれてきて少し醜くなってきたと感じていたある日、いつものように朝職場に到着して庁舎に向かおうとしていた私に声をかけてきた人がいた。

 見ると隣に建っている警察署のおまわりさんである。「いやー。かっこいいですね〜♥
 実はいままでもそのように言われたことは何度かあったが、きまってそれはどちらかというと蔑みの意味を含めた「かっこいいね〜」であった。ところが、今回はちょっと違っていた。目がマジなのである。私が、「今売りたいと思ってるんですよ〜」と言ったところ、おまわりさんの目の色が変わった。「本当?売って下さいよ!」
 
 世の中変わった人がいるもんである。その日のうちにおまわりさんはカメラを持ってきていろんなアングルから写真を撮っていったかと思うとあれよあれよと商談成立。迷彩のジムニーはおまわりさんのところに お嫁にいった。ちょうど同じ時期にこいつをヤフオクに出品していたこともあるのだが、1ヶ月たっても誰も買わなかったのだ(^◇^;)。
 
 ちなみにまだ彼はこのジムニーを所有しており、売るつもりはないという。(NSXも持っている・・・)さらに、彼は制服で雨の中をフルオープンでポンチョを着て乗ったり、「近所の奥さんから変な人と笑われましたよ」と満足して報告してきたりとかなり の変人である(^_^;)。しかし、それ以来彼は私の親友になった (o^^o)。( しかしどうも彼は色をに変えてしまったらしい(^_^;))
 

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