SUZUKI ジムニー SJ10 日記(16)

 
ついにフルトラ化!!


  前からSJ30のエンジンからのフルトラデスビ移植による完全フルトラ化計画をたてていたが、 技術のない私がエンジンを降ろして作業をするなんて、普段足に使っている車では無理。断念した。ところがネットサーフィン(←今この言葉はどこに行ったんだろう(^_^;))をしてたら、 Pertronix「IGNITOR」(SOLID-STATE ELECTRONIC IGNITION)というものを見つけた。このイグニッションシステムはホール素子タイプのフルトラで、センサーとピックアップ部分のみでいわゆる「フルトラアンプ」を必要とせずに、完全フルトラ化ができるというものである。
 

 今までLJ50エンジン用に販売されているこういったフルトラシステムで一般的に知られているものといえば永井電子製とワコー製のものしか存在しなかった。

 しかも永井電子のものはPPK(ピックアップ)だけでも¥23,000もするし、フルトラアンプが¥12,800なので、組み合わせると¥35,800(税別)、ワコーは初めからこれらがセットになってはいるものの¥35,000(税別)もするので、単にスイッチングするだけのフルトラなんぞにこんなに出費するというのはどうしても躊躇してしまう。(写真はワコーのピックアップ)

 よく「フルトラとC.D.I.はどちらがよい(パワーがある)のか」みたいな質問メールを頂くのだが、これは考え方としては全くナンセンスである。フルトラは機能的にはポイントと本来全く同じものなのだ。 ポイントとフルトラの違いを小学校の理科の実験で例えて言えば、電池1個と豆電球の回路があったとして、 リード線の被覆をむいて電池に直接接触させているか、スイッチを使って点灯させるかくらいの違いであり、電球が点灯する結果に違いはない。あるとすれば早く 確実に点滅させようと思うとやはりスイッチのほうがいいよなあということになる。C.D.I.は別に用意した電池といったところか。「フルトラとC.D.I.はどちらがよいのか」という質問をこの回路で言うと、スイッチを付けるのと電池を2個に増やすのとではどっちが明るいか(または使い勝手がいいのか)?と聞いているようなもの だ。ちなみに高出力コイルをつけるのは電球のワット数を上げるということになるかな。

 このように単純にフルトラにしてパワーUPするものでは決してないし、私がフルトラ化をしようと思ったのも、C.D.I.を調子よくドライブさせるためにポイントの欠点であるサージングとヒール摩耗及びギャップ・ドエル角調整を避けるためという理由からである。

 本来純正フルトラ化を考えていた私はこのイグニッションシステムを見つけたとき写真を見て眼が釘付けになった。「ひょっとして6気筒のやつは うまくいけばLJ50に付くのではないか?」日本で入手できないかWEBで探したところ、S.I.氏と巡り会う事が出来た。


 S.I.氏には色々とわがままを言ってこのセットの実験に協力をして頂いた。センサーやピックアップ取付プレートなど種類が数多くある中で氏のアドバイスを頂き、いくつか実際にデスビに組み込んでみて最終的に選択 ・購入したのがこの1867というタイプである。

 本来ポルシェ6気筒(911E,911T,911S)のものなのだが、デスビローター径や高さ、ポイント位置などからLJ50デスビにはこれがベターであろう。

 初めに純正のポイントをはずす。コンデンサーはいらなくなるのだが、念のため残しておく。
 この後ローターに被せるマグネットスリーブをカムに合わせて打ち込む。スリーブの中には下側に磁石が埋め込まれているのだが、金属を当ててみればくっつくのでわかる。
 このようにスリーブはローターを使って打ち込むと簡単に入る。
 センサーのセンシングする部分に磁石が接近しなければ起電力はおこらないので、ポルシェ以外のデスビで加工する場合に高さあわせに注意が必要となり、ここが一番の心配ではあった。
 マグネットスリーブはカム上部に被さってしまうので、差し込むローターが1.2ミリ持ち上がってしまう。
 そこで、リューターとグラインダーを使って1.2ミリ削ることにした。
 
 
 センサーとマグネットスリーブの間には透明なプラ板で出来た間隙用の治具があるので、このように置いてみて位置決めをする。
 センサープレートは純正のポイントが付いていたところの穴に合わせてOK。
 プレートの中心にあるビス穴に合わせて1箇所、マジックで印をつけ、3.2ミリのドリルで穴を開ける。
 
 次に付属のビスを入れることが出来るように4.0ミリのタップをたてる。 切りくずはエアーダスターなどでしっかりと吹き飛ばしておくこと。  プレートを付属のビスで固定。次にセンサーを付けるが、スリーブがあると少し邪魔して入らないので、スリーブを一旦抜くか、またはセンサーベースを僅かながら削る必要がある。(私は削 って入れました)
 
 センサーを取り付ける。配線を既存の穴から通し、ローター等に干渉しないように配置する。黒線は今までのポイント線(茶色)に接続し、赤線はイグニッションオンで12ボルトが通電する所に接続する。LJ50の場合はコイルのレジスタの端子(コイルに継がれていない方の端子)に接続 。  あとは配線を綺麗にまとめて、デスビキャップを被せておしまい。ちょっとした加工が必要だったが、全部で1時間もあれば誰でも出来ると思う。
 ところで、昔このIGNITORとよく似た構造のCrane cams(アメリカ製)のフルトラを以前私が乗っていたハーレーダビッドソン(ショベルヘッドFLH)にも組み込んで乗っていたこともあるのだが、イグニッションスイッチを数分切り忘れたときにコイル共々焼けてしまったという苦い思い出がある(^_^;)。 また、こういう形式のイグニッションは結構故障が多かったのも事実。
 最近のシステムは信頼性も向上しているはずと思ってはいたが、一応調べてみた。ところが、Altavista(USA)とかでPertronix Ignitorを調べてみても、BBS上などでも良い評価はされていてもトラブルのことが書かれているものはないといっても過言ではないのだ(@_@)。 アメリカで200万個も販売されているのに・・である。これは結構信頼できるシステムらしい。故障はしないにこしたことはないもんね。

 今まで付けていたセミトラは完全に不要となったので、外すことにした。さらばセミトラ!
 
 早速エンジンを始動してみる。当然と言えば当然だが、もともと専用品ではないので、セルを回しても点火時期は大きくずれているようでエンジンはかからない。実際にはポイントが開き始めるところにセンサーがついていなければならないのだが、 上記の取り付け方では反時計周りに2ミリくらいずれていたことを思い出し、デスビを時計回りにアジャスターの限度まで回してエンジンをかけてみた。今度はあっけなくエンジン始動しアイドリングも安定している。ちょっと感動しながらアクセルを空ぶかし。全然問題なさそう。タイミングライトで 見るとこの右回り限度の位置がぴったり基準値の23度であった。もしこれでも早いようなら一旦デスビを抜いてギヤ一コマ分反時計回りに回してはめてやればいいだけなので簡単である。フルトラは点火時期を1回合わせればずれることはないので、このままで行くことにした。もう完璧っす。
 
 次に走行テスト。今回 Pertronix Ignitor と同時に入手したPertronix 40000ボルトコイル をC.D.I.を外した状態でテストしてみた。いやあ♥ 、これがフルトラシステムのトータルバランスのとれたパワーなんだろうね。こんなに安価なシステムでも文句なしである。なんたって、この Pertronix Ignitor Pertronix 40000ボルトコイルを新品で共に購入しても2万円もあれば 楽勝でおつりがくる値段なのだ。
 先に述べた国産品を揃えてこれと同等のフルトラ性能を出そうとするといったいいくらかかるのやら(^_^;)。 もし初めからこのPertronix Ignitorを知って点火システムのグレードUPをしていたら、私はいろんな点火装置を試すような事はしていなかった のかもしれない ・・。

(←4万ボルトコイルとフルトラ、キングスパーク付加、コイルを換えてC.D.I.、C.D.I.+パワーエキスパンダーと試してみた。それぞれ個性がある。)

  さて、最終的にはやはりC.D.I.とC.D.I.専用コイルをドライブさせてテスト。もともとポイントでも調子がよかったエンジンなので、フルトラ化して特にCDIでの調子がどうなったとは思われなかったが、 高回転はすんなり滑らかに回るようだ。 走行感覚で言うと、今までやっとこさ最高速度95キロだったのが、ふつうに95キロでるようになったこと(それ以上は出ないけどね(^^ゞ)。
 さて、一応今回取り外したポイント については念のために車に積んでおくことにした。 簡単に組み込みが出来て、かつ簡単に元に戻すことができるというのもいいよね。

 しかし、これで私のSJ10の点火システムはこのフルトラ+C.D.I.により完全に完成の域に達したことになる。思えばいろんなC.D.I.も試したし、ほんと、永かったよなあ(遠い目)。SJ10の点火システムのグレードUPを計るには、このフルトラシステムとC.D.I.(なるべく安く入手して・・)との組み合わせが最もおすすめ、簡単、かつ究極である。(いいのかなぁ・・またそんなこと言って ・・。)

 WARNING!今回使用した Pertronix IGNITOR 1867 はあくまでもポルシェ911用であって、この改造は取付による危険や故障などのリスクを承知で私が加工したものであり、当然Pertronixの保証外である。
 最後になりましたが、このフルトラ化をするにあたって多大なご協力を
頂いたS.I.氏に感謝します。

 

 

 ついに動作。永井電子ULTRA C.D.I.(9000)

 
いや、ついに動きましたぜ、旦那。WEB読者からも「なぜ有名どころのULTRAがないんですか?」なんて言われたりしていたのだが、たまたま動作しなかったり、2ストLJ50で動くものが入手できなかっただけなのだ(^^ゞ。
 ポイントの2ストLJ50でそのまま動作する永井電子のC.D.I.といえばこの9000と9250しかなく(9250はフルトラも可)、やっと入手することができた。

 しかし、永井電子に配線など問い合わせたところ、” 9000などはPL法でのサービスを打ち切っていますので資料など一切ありません。by永井電子機器 広報 ○○”などと全く相手にされない(泣)。・・なんて強気なメーカーなんだろう。動作しないのが続いて薄々感じてはいたが、ここで完全にアンチウルトラ派になってしまった(別に商品が悪いわけではないんだけどね(^^ゞ)。
 
 さて、肝心のインプレである。配線を見ると、どうも通常の電磁誘導を利用したインダクティヴ点火とC.D.I.点火を併合させてスパークさせているようだ。良いとこ取りなのか、C.D.I.反則技なのかはわからないが・・。発信音はちょっと大きめで、C.D.I.の存在を感じさせる。走行感は色んなC.D.I.に慣れてしまった私には「C.D.I.としては普通かな」という感じである(多分、好みの問題)。
 

 多分日本で一番有名であり、最も普及したC.D.I.がこのウルトラのブランドであろう。現在は永井電子のものは全てマルチスパークのM.D.I.になってしまったが、ちょっと値段が高すぎるような気がする。
 MSDなども同じ点火方式をとっているのに、もっと安価である。技術的に大きな違いがあるとは思えない。正規代理店が日本に出来たら、永井電子ブランドは結構苦戦を強いられるのではないだろうか。

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