SUZUKI ジムニー SJ10 日記(20)
(torakuroさまにアドバイスいただきました。大感謝!)
 
5速ミッション化 

 ミッションを降ろしてチェックしたところ、今回のオイル漏れの原因をついに発見した。最初はエクステンションケースのプロペラシャフト部分のオイルシールのあたり部分だと思っていたのだが、丁度その上にあるシフティングレバーギアケースのロッド部分のオイルシールだったのだ。
 他のオイルシールは回転部分の円周のシールなのに比較して、ここのオイルシールはシールのリップ部に対してロッドが前後方向に動くので、劣化するとリップがめくれてしまう。このまま使い続けるとケースとシフティングロッドが接触して削れてしまいそう だ。

 とりあえずここまで解れば楽勝さ。と理解し・・・ところが!である。調べてみると数年前から、そのオイルシールは欠品らしいのだ。ガーン。旧車SJ10の悲しさか。

・・・と、いうことはオイル漏れの対策としてはもしかするとSJ30以降のミッションを積む以外方法が無いのか・・?

 うーーーーむ。こうなったら仕方がない。今後も考えてSJ30のミッションを積むことにする。また、どうせならとちょっと興味があった5速ミッションを積むことにする

 5速があれば最高速も上がるし、1速もさらにローギアになる。ダイレクトミッションだからシフトフィールがあのぐにゃぐにゃした感覚から脱出できるわけで一石二鳥だ。


 はてさて、思いついたのはいいが、いったいどうしたら良いのだ?WEBを巡回しておおむねわかったことは、JA71のミッションとSJ30のミッションを組み合わせるってこと だけ。 成せばなる!といつものように研究を開始した。(後にわかったことだが、シール部品は合う物が規格品であるらしい)


 ここがオイル漏れの場所(泣)。
 
近くで見るとボロボロです。


 プロペラシャフトを外したところ。


 まず必要なものはJA71の後期5速ミッション。ギヤのうち、スリーブが1箇所入っているのが前期で、無いのが後期らしい。ギヤ比も構造も全く同じであるが、ギアを別々に部品で注文することは避けたほうが良さそうだ。SJ30なんかでもミッションケースとの互換性はあるものの、ギアは型によって全く部品番号が違う。やはり中古のミッションアッシーで入手したほうが安心だし早道、安価だと思う。

 ミッションは一度全部バラして洗浄、シフトフォークを組み換えし、JA71のミッション用のベアリング5個を打ち替えとオイルシールの交換が必要である。 自分でやる場合、こちらに書くよりもっと素晴らしいページを発見したので紹介する。

<参考>ミッションのOH(ご家庭で出来るJA12Wのミッションオーバーホールから)
http://www.geocities.jp/keng_s/mente/miss01/jimmiss1.htm
 
 さて、まず初めにSJ10のミッションケースと組み合わせて出来ないか合わせてみたところ、そのままではカウンターシャフトのギヤとメインシャフトのギヤがエンジン側へ5mm程ずれてしまうため、カウンターシャフトのフロント側のサークリップ位置が違ってしまうことが判明。ここのベルハウジングにはまるサークリップがはまる溝をリューターなんぞを使って切り直してやれば良さそうだが、SJ30の 前期のミッションを入手するほうが はるかに簡単である(SJ30の前期のミッションならカウンターシャフトがメインシャフトとぴったり合うためにそのまま使える)

  ここで各ミッションの前後期が違ってしまうとリバースギヤのシャフトのセンターが下記写真のようにわずかながらずれてしまうため、ベルハウジング(写真奥)側の穴をアルゴン溶接して塞ぎ、心出しをして穴をあけ直すか、シャフトを削って合わせることが必要となる(大変)。
 JA71の後期ミッションとSJ30の前期ミッション 以外の組み合わせで問題になるリバースギアのシャフトのずれ。  これはもとのSJ10のミッション。真上から
 
 組上がったJA71のミッションとSJ30のミッションニコイチの5速ミッション♪。真上から
 
 これはもとのSJ10のミッション。左側
 
 組上がったJA71のミッションとSJ30のミッションニコイチの5速ミッション♪。左側


 さて、出来上がったミッションをSJ10に積むには、当然ミッションの長さが違うため、 各所の位置調整のための加工が必要となる。思いつくのは、プロペラシャフトを交換し、ヒーター加工、フロアトンネルを加工、さらにリヤマウント部製作、 くらいかな。これがSJ30に積む場合なら、リアマウントのちょっとした加工でなんとかなるのに・・・。 

 SJ10のミッション長さと5速改造ミッションを比べてみると全長が45ミリほど延長しているため、ミッションとトランスファーの間のプロペラシャフトが入らなくなる。SJ10のプロペラシャフトを加工することも考えたが、他に方法がないか調べたところSJ30の1,2型のプロペラシャフトが丁度45ミリ短いことがわかった。

 しかし、解体屋を探してみたが、SJ30はあっても程度の良さそうなプロペラシャフトはなかなか無い。結局清水の舞台から飛び降りるつもりで新品を購入することにした。在庫があるか不安だったが、なんとまだ部品があるんですねー、さすがSJ30。
 SJ30(1,2型)シャフトアッシ、プロペラ、No.1 27101−80001


 SJ30のプロペラシャフトでは前期(1.2型)と後期(3.4型)では形状が異なる。今回必要なのは後期の物より細身のタイプのプロペラシャフトである。値段は3万5千円(高!)。
 


 SJ30のプロペラシャフト(新品)とSJ10のプロペラシャフト。


 この45ミリ差がミッションの長さの差と同じなのだ。


 エンジン載せ中


 次にシフトノブが出るフロアの穴を開けるが、ミッションの位置的には前方はヒーター側のリブの膨らみ外側の線まで拡大し、横幅は、2本あるリブの膨らみの内側の線くらいであるが、右側にミッションが少しずれるため、右側のみリブの膨らみ内側線から5ミリ程度外側まで拡大することになる。

 エンジンとミッションはエンジンの回転トルクの反作用で、ミッションが右に振れるため、やや右側のスペースを広くした方が良いみたいだ。

 また、SJ10のフロアトンネルに、JA71のミッションを積むため、フロアトンネルの中はスペース的にはギリギリである。

 ヒーターは 2本のステーの右側を下方のリブ部分と共にカットし、左側のステーも多少内側を削って後で取り付けるシフトブーツ枠が干渉しないようにする。 こうすることで、ヒーターの底面でちょうどシフトブーツの周りの枠に当たる固定用の板を押さえることができる。
 


 とりあえず小さめに穴開け中
 出来上がりはこんな感じ。
 また、 ミッションマウントはJA71とSJ10では形状が全く違うことが判明。パーツリストで調べてみると名称はJA71ではマウンチングエンジンリアとなっている。SJ10はエンジンルームのバルクヘッドのあたりから吊り下げるタイプでブラケットで挟み込むようになっている。他車種の説明は表のとおり。
 
SJ30 JA71
SJ30ではフレームのメンバーの上、真ん中1個のマウントゴムの上にミッションが乗っかるようになっていて、ミッションの下から支えるタイプ。 JA71ではさらにメンバーの位置の関係でブラケットが付くようになっている。13のマウントゴムの付いた部品は共通のようだ。

 今回の最大の難関は作製した5速ミッションのこのリヤマウント部分である。SJ10のマウントステーはそのままでは使えないため、なんとかして新しく作らなければならない。

 初めはSJ10のマウントステーを延長しようと考えた。ところが左側マウントステーは延長だけですみそうだが、マウントステーの右側が左とは全然違う。そもそも、前よりも重くなって重心が後方に移動しているので、これではただでさえ弱いマウントゴムが早く劣化してしまうのは間違いない。

ここは5速ミッション が組むだけの作業なのに対して全てが現物合わせのため、はるかに面倒で 手間がかかる。SJ10オーナーが5速化を躊躇する最大のネックといえよう。

   JA71 マウンチング、エンジン、リア   11710−80010
   JA71 ブラケットリアマウンチング    11741−80700

 結局JA71のマウントステーを利用してマウントステーを作製することにしたが、採寸して図面を引こうと思っても、現物あわせなので空中を計ることはできない。で 、ベニア合板を適当に切ってナゲシビスで組み立て、木製のマウントを型として作って鋸で切断しながら採寸 し、図面を作った。あとはプレス屋に持って行って作ってもらうことにする。

  写真のようように6mm厚と3.2厚の帯状鉄板を加工してもらってマウントステーを作製した。本当は溶接が出来ればもっと容易に出来ると思うのだが、私は溶接なんてもちろん出来ないので(^^;、フレームには貫通ボルトで固定する形状で設計した。マウント取り付けステーのネジ穴も長穴にして調整できるようにしてある。

    
 いい加減なメモ図面(クリックで拡大)
 


 ミッションが振れないように、マウントだけはきちんと取り付けなければならない。 プロぺラシャフトはエンジンマウントからなるべく一直線になるようにエンジンマウントの位置を調整する。(実際には固体差が有るかも?)。

  
 
 
 SJ10の純正リヤマウントの位置には「への字型」のパイプのメンバーがあるが、その位置から約1センチぐらいのミッションが持ち上がるようにマウントを取り付ける。実際には ミッションの上面がフロアトンネルに当たるまで、ここからは3センチくらいしか余裕がないので、これ以上ではボディに干渉する。初めは2センチ取って みたところ、ボディと干渉してエンジンの振動で「キーーーー」と凄い音がしていた(汗)。1センチではギリギリ に思えるが、とりあえず問題なさそうである。ここはトランスファーが固定されているので上下には殆んど動かないようだ。
 
 次は車内側の加工である。こういったところにこだわる私としては、なるべく純正っぽく仕上げたいので、JA71のシフトブーツとシフトブーツ固定用の板を入手した。この鉄板はJA71のボディに合わせて曲がっているため、木槌で叩いて平たくする。あとは純正色のラッカースプレーで塗装して準備完了。

ブーツ、No.2 28136−83000
カバー、ブーツ 28137−83000

 5速化するために何が大変かって、こうやって違う部品をSJ10に合うようにするための加工である。あー面倒くさい!

   

 フロアトンネルのリブの高さの違いに対処するため、合板で調整用のマウント作製。


 塗装中♪

 ヒーターの反対側サポート
  
 

 途中、ボディに干渉したりして難儀したが、なんとか解決。

 干渉した原因はボディとの隙間はほとんどないせいである。初めはミッションマウントを取り付けたときに、自分のマウントの設計が実際より少し低かったのではないかと思って 設計よりさらに10o持ち上がるようにワッシャーを入れて持ち上げていたせいであった(汗)。ミッションケースの上部がフロアトンネルに干渉して(エンジンの振動で擦れて)音がしていたのだ。

 ワッシャーを抜いたらピタリと止まった。初めに自分が設計したマウントステーがまさにピッタリだったわけで、ちょっと感動。

 

  

 ついに完成♪我ながらうまく収まったと感心してます\(^O^)/。

5速ミッションインプレ

 さて、早速5速化したミッションで市内を走行。いやーこのカチカチと入るシフト!シフトフィーリングが最高にいいねー♪

 しかし、5速と言っても4速と5速の違いはタコメータ読みで500回転くらいしかないみたいだ。体感的にはエンジンの回転が結構違う感じがするんだけど、思ったほどハイギアではないなあ。でも明らかに1速は低くなったみたい。

 ところで、これってどのくらいスピードがでるんだろう?。

 早速計算♪。
 
SJ10ノーマルミッション JA71-30ニコイチミッション
1速 3.835 1速 4.063
2速 2.359 2速 2.361
3速 1.543 3速 1.469
4速 1.000 4速 1.000
なし 5速 0.877
リバース 4.026 リバース 3.809
ファイナル 4.875 ←SJ10のまま
トランスファ 1.714 ←SJ10のまま

E/g回転数÷MT変速比÷トランスファ減速比÷ファイナル比=ドライブシャフト回転数/分
(タイヤ外径mm×円周率÷1000000(km換算)=タイヤ円周
ドライブシャフト回転数/分×タイヤ円周×60分=速度(km/h)


まずノーマルSJ10で4速5500rpmでの速度をノーマルゲタ山タイヤ外径728mm(6.00-16 4PR)で計算してみる。

5500÷1.000÷1.714÷4.875 = 658.229363013494
728×円周率÷1000000 = 0.00228707945181337
658.229363013494×0.00228707945181337×60 = 
90.325371043702 km/h

 うんうん、こんなもんだよね。
 私のLJ50は社外ポルシェ911用改フルトラ+自作C.D.I.+フリーホイールハブ+フリーソロエキマニ+APIOチャンバーなので軽く6500r.p.m.は 回って巡行できる。先日友人に併走してもらって計測できた最高速は105km/hであった。

6500÷1.000÷1.714÷4.875 = 777.907429015947
728×円周率÷1000000 = 0.00228707945181337
777.907429015947×0.00228707945181337×60 = 
106.74816577892 km/h

おお、実験結果と一致するなあ。\(^O^)/。



 5速化SJ10で5速5500rpmでの速度をノーマルゲタ山タイヤ外径728mm(6.00-16 4PR)で計算。

5500÷0.877÷1.714÷4.875 = 750.546594086082
728×円周率÷1000000 = 0.00228707945181337
750.546594086082×0.00228707945181337×60 = 
102.993581577767 km/h

なるほど、約10kmの速度アップなのか。


C.D.I.なので軽く6500r.p.m.巡行できるので、

6500÷0.877÷1.714÷4.875 = 887.009611192642
728×円周率÷1000000 = 0.00228707945181337
887.009611192642×0.00228707945181337×60 = 121.71968731918 km/h


 どうやらこのあたりが自分の車の最高速域らしい♪。フルノーマルのSJ10との速度差は30km/h。十分満足。


 でも考えてみたらここまでの作業時間、トータルで80時間くらいだろうか・・?。 前にやったフリーホイールハブの時もそうだったが、それ以上にとにかく素人作業の5速化って大変。ミッションの中味以外はすべてが現物合わせであるもう2度とやりたくない(^^;。

 でも、そのうちオーバー120km/hの最高速にチャレンジしてみたいっす。 
 

 この改造についてご意見をいただきました。こちらです。
・・・・・・・と、いうわけで、5速化終了。

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