SUZUKI ジムニー SJ10 日記(18)

 
 ついに完成!LJ50自作C.D.I.でハイパフォーマンス!
 

 昨年私がC.D.Iにはまってから(^^ゞ、TORYさまの「車好きのたまり場」のC.D.I.自作記事に感激し、LJ50での実装を目指して苦節10ヶ月間。ひとまず完成域に達し、満足出来るレベルになったと思われるので報告したい(涙)。

 ここに至るまでの苦労話と顛末はこちらの日記をみていただくことにして、LJ50で高回転を回すにはTORYさまのオリジナル回路図では追いつかず、いろんな方(プロの方も)に検証実験をしてもらい、またご指導、アドバイス等をいただいた。結果として案外部品点数も少なく、割と簡単に製作できるC.D.I.が完成したと思うので、ジムニー乗り(に限らないけど・・(^^)には是非おすすめしたい。

 ここまでの日記で周知の通り、私はほとんどの市販C.D.I.を購入して実車走行実験しているので自信を持って言える(^^ゞのだが、今回紹介する自作C.D.I.は2ストLJ50についてこれらの市販モノと比べても遜色ないどころか、実験したC.D.I.としてもトップレベルに位置していると思う(またまたそんな大きなこと言っていいんかい(汗))

 

 ↓これが今回作製したC.D.I.の配線図
 
 (インバータ部)
トランス :SP-1203 (SEL製) ( 0-CT-12V 300mA ) *2
トランジスタ:2SD1407 *4
抵抗 :330Ω 1W *4
コンデンサ :0.3μF 25WV *4

 (高圧部)
ダイオード :1000V 2A 整流用 *4
コンデンサ :0.033μF 600WV *2, 0.47μF 600WV *1, 1.0μF 600WV *1
ネオンランプ:110V パイロットランプ *2
抵抗 :500KΩ 1/2W *2

 (トリガー部)
サイリスタ :SF5B41( 600V 5A )
抵抗 :120Ω 2W *1,2KΩ 1/2W *1
コンデンサ :0.02μF 25WV *1,0.2μF 25WV *1
電解コンデンサ:100μF 16V
ダイオード :1S1835 *1

その他必要なもの:ゴムブッシュ、ビス、ナット 、ワッシャー、リード線、シリコングリス、はんだ、アルミケース、放熱板プリント基板

 この回路の特徴を説明する。LJ50は3気筒2ストロークであるが、4ストでいえば点火の回数は6気筒に匹敵する。このためオリジナルのTORYさまの回路では高回転を回すことが出来なかった。(そういえばトリガも動作しなかったっけ(汗)。)
 そのため、トリガ部分の回路を変更し、ツインインバータ化をして電源部の容量UPをはかったことである(電源の効率からみればあまりベストとはいえないのだが、部品の入手のしやすさを考慮。まあ、体感実験からもLJ50では問題にならないレベルと思う)。なお、追加のインバータ部を赤枠線で示した。

 ネオンランプは1個でいいのではないかと思われるかと思うが、追加インバータ部は全く別基板になっており、追加できるようにしたせいである(汗)(電源単体での動作を確認するため)。
 もし点火コンデンサの容量を増やすのであれば電源をトリプルなど追加することでさらにパワーアップが可能である。
 原設計者のTORYさまのオリジナル回路図と基本的には同じであるが、部品点数や仕様などは多少変更しているのでご承知いただきたい。また、この回路にいたる経緯とこれらの部品を使用した理由についても先に述べたとおり、こちらの日記を参考にしていただければと思う。

 作製上注意することは、発振回路部分とトランス以降の回路およびトリガ回路は出来るだけ分離するように配置し、混載配線しないようにすることである。発振回路におけるトランジスタ・エミッタのアースへの配線位置に注意して、出来る限り、外部からのGND配線に近いところでつなげるようにすること。また、トリガ回路のGNDとも同じGNDではあるが、少しでも離れるような配線とすることである。追加のインバータ基板もシールド線(0.5SQくらいで十分)を使って別に追加していくと良い。

 点火コンデンサに0.47μFと1.0μFがあるのは、放電時間を調節しようとしたためで、高回転を目指すなら0.47μFを使い、街乗りで中低速重視の走行なら1.0μFを使おうと考えたからなのだ。ここではそれぞれの点火コンデンサからギボシ端子を出しておき、差し替えることで切り替えを行っている。このあたりもリレーを使って車内からコントロールできたりなんかできると面白いかもしれない。

 ただ、実験結果から放電時間は単純に点火コンデンサの容量によるものではなく、AC波形で放電され、点火パルスが無い時にゼロクロスする点まで放電する、すなわちコンデンサとコイルの時定数によるものらしいということが判明している(Iさんの報告より)。つまりコイルの性質により、放電時間が変化するようなので、今回取り付けたMSDのブラスター2コイルがたまたまこの回路とLJ50に合っている状態なのかもしれない(私的には好結果を得た0.47μFのみでも大丈夫だと思っている)。Iさんによると、もしコイルを換えた場合、励磁時間とか考えるとC.D.I.専用コイルなら悪い方向には行かないかもしれないが、インピーダンスが小さい=流れる電流も大きいということでインバータのパワーの問題がでるかもしれないとのこと。
 

 
 SJ10に実装したところ。このままでも別によかったのだが、実際にはこの後防水防塵を考えてアルミ製のケースに入れることにした。IGコイルはMSDのブラスター2を使用している(なんたって安価だしね(^^ゞ。  左側の緑の基板だけでも4ストジムニーであればOKだろう。しかし2ストでは倍の点火が必要なので容量が足らず、どうしても4000回転以上回せなかったために右の電源部基板のみを1基追加してツインインバータ仕様とした。
 
  自作ツインインバータC.D.I.インプレッション!

  エンジンをかけてみる。何事もなくすんなりエンジンがかかり、アイドリングする。アイドリングが低いと多少がさつく感じ。低回転での放電時間がやや短いせいかもしれないが、ほんの少しアイドリングをあげてやると解消する。ちょっとアクセルをあおると 回転上昇は素晴らしく、空ぶかしでは7000回転を軽々と超えて回る。このへん、武蔵C.D.I.のようで思わず顔がニヤけてしまう。
 早速試乗。いつものインプレテストコースに入る。トルク感は上々、そのまま6千回転でシフトアップしていくといとも簡単に90キロを超えてスピードメータの針はMAXを指し、メータの最大表示に張り付いている。実走でも6500回転でのシフトが可能。この感覚、市販のKOEIのC.D.I.などよりもはるかに凄い。


 しばらく走ってみてアクセルのオンオフを繰り返すが、変な挙動はない。自宅まで帰り、エンジンを止めてトランスに触ってみる。熱くはなっているが、問題になるほどではなさそうだ。

 回路はTORYさまの設計がベースになっており、多少変更はしているものの、これだけ安定しているのはやはり基本設計がしっかりしているせいだと思う。値段的にみても、自分で秋葉原なんかででそろえれば4000円でおつりが来る程度だと思われる。何より、何万円もする市販品ではなく、自作の点火装置でSJ10のLJ50エンジンが見違えるように回るのを体験できるということが本当に感動モノなのだ(*^_^*)。
 

 2ストエンジンでは混合気の充填効率を上げるために排気の反射波を積極的に利用するが、失火が起こると反射波が乱れるため、確実に点火することが望まれる。 C.D.I.は急激に放電するため優れた火花特性を持ち、電極の汚れに強いので特に2ストエンジンには特に向いていると言われている。今回C.D.I.を誰でも入手可能な部品を使って作製し数々の比較実験を行った結果、高価な市販品でなくとも、こういった自作のC.D.I.にて素晴らしい効果を発揮することがわかった。

 ★最新★

 インバータをトリプルにしました。さらに安定して熟成したという感じです(^^。こちら
 トリプルにした場合、上記説明の点火コンデンサの0.47μFと1.0μFをそれぞれ1.0μFと1.5μFに変更して読み替えて下さい。
 


 最後になりましたが、このC.D.I.自作をするにあたって多大なご協力を頂いた
TORYサブやん他諸氏(I氏、T氏、S氏、J氏)に感謝します。


  WAKO C.D.I.専用コイル

 しばらくはMSDブラスター2コイルを使っていたのだが、先にフルトラでお世話になった方からワコーのゴールドコイル(中古)を提供してもらったので(ありがとうございます!m(__)m)、ちょっと実験してみた。
 ワコーのCDI専用であるゴールドコイルは、MSDブラスター2コイルよりもインピーダンスが多少高くなっている。 これは1次コイルの巻き数を増やし火花の持続時間を延長することを目的としたコイルで、低回転では4ms(ミリセカンド)以上の火花持続時間が得られるというものだ。(トルク向上型とのこと:メーカー説明より)

 取り付けた結果、メーカーの言うとおりブラスター2よりも低速でのトルクアップが有意にみられる。なるほど、C.D.I.だからといって単純にインピーダンスが低ければよいというものじゃないんだね(当たり前か)。ちなみにMSDブラスター2コイルのインピーダンスは0.7Ωである。
 

1次直流抵抗 1.15Ω
2次直流抵抗 12.0KΩ

 写真はレジスタがついているが、純正のブラケットをそのまま使用したためなので、実際にはレジスタはターミナル端子と使用しているだけで配線はされていない。

 MSD6A

 これだけC.D.I.のことを書いていると、最近「それじゃ、何か一つ入手するとしたら何がオススメなの?」とよく聞かれる。

「うーん、やっぱりパワーアップとか点火時間が自由に変更改造出来る自作C.D.I.に限るっしょ!」といいたいところだが(笑)、そんな面倒くさいことはみんな嫌らしい・・(笑)。

 私も色々とC.D.I.を試したのだが、実験好きや冒険家でない限り、配線や故障時の保証などを考えるとやはり新しいC.D.I.をお勧めすることにする。現在市販で入手できるC.D.I.は国産の物を含めて含めて数種類あるのだが、あえて一つ選ぶならMSD6Aかな。前に複数放電はオーバースペックかも〜なんて書いておきながら言うのもなんだが、値段や性能を考えるとやっぱりイイっす。

 もともと私が古いC.D.I.を実験してきたのも、とにかく安く(自作も考慮して)C.D.I.を入手して、それもできれば総額1万円以内で最高の点火装置として動作することを目的としていたのだ。ところが実験を始めた当時は2千〜3千円くらいで入手できたC.D.I.も現在なぜか中古の相場が上がってしまった(汗)ので、多少予算に余裕があるのなら、これらの中古を入手するよりMSD6Aを取り付ける方が得策のように思う。6シリーズは大抵のどんなコイルと合わせても使えるようだ。

 これを購入してから自作品と切り替えて走行しているのだが、性能は文句なしである。正直言って、最初からこのMSD6Aで実験していたら他の中古C.D.I.なんて実験する必要がなかったかも(汗))。今までに試した最新の日本製のC.D.I.と比べて、値段、性能、実際の走行比較実験結果から、トータル的にこちらが優れていると感じている。
 


 
MSD6A6ALは高いし電気リミッターなんてあんまし意味ないし、この電気リミッターの故障クレームも多少は発生しているようなので6Aがお勧め。アメリカの店では149ドルで購入できるようだ。

 ジムニーに進角装置がない以上、常用する回転領域を決めてあらかじめその回転域での進角度を設定するという使用法がベストと考えれば、高回転域で真価を発揮する単純なC.D.I.より、低回転域でのトルクを重視しているマルチスパークの6Aの導入が、新品で買えることや保証が効いてマニュアルがついていること(英語)を考えると、高くなってしまった国産の古いC.D.I.を発掘するよりもやはり現実的なのかもしれない・・。

 とりあえず私もジムニーSJ10の予備用(実験走行中の自作品が壊れた場合の予備用)に配線していたのだが、価格も$150程だし、同社のコイルと組み合わせて使うとベスト。なんたってあのシビアなユーザーの多い米国で何十万個と発売されて実証されているわけなので、悪いはずがないよね。

 別に日本製が悪いわけではないのだが、このC.D.I.に限らず前に導入したフルトラにしても、同じくらいの性能を引き出すためには米国モノと比べて費用がかかりすぎるのだ。このへん、ユーザーがもっとわかっているのならいいのだろうけど、C.D.I.を含めて点火装置のことを理解してその違いや動作、配線をきちんと説明出来る人って果たしてどのくらいいるのだろうか(なーんて、自分もここまで理解出来るのに何ヶ月もかかっている(笑)。これはもちろん販売店にしても然りである。そのへん、MSDは適正な価格だと思うし、コイル等の選択のラインナップや説明もわかりやすい(英語だけどね(汗))

 現在日本にはMSDの正規代理店がないので個人輸入などに頼るしかないが、正規代理店が出てこれば日本製のものはじきに淘汰されてしまうのではないだろうか・・。
 

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